「ペットがいなくては、生きていけない」という理由で、訪問介護でペットの世話を依頼してくるご利用者様がいます。
このようなお話はよく話題に上がるのですが、本当に訪問介護でペットの世話は行えないのか解説していきたいと思います。
法律上の位置付け
「指定訪問介護事業運営の取り扱いについて(平成12年11月16日)」で、保険給付されるサービス提供の内容に含まれないものの例が挙げられております。
その中で、日常生活援助に該当しない、草むしり、花木の水やり、ペットの世話や散歩等々が保険給付費には該当しないことが明示されています。
訪問介護の日常生活援助に該当するかしないかの判断が微妙なものが多いなかで、ペットの世話に関しましては、法律でもダメということが明確になっています
では、なぜ訪問介護でペットの世話はなぜダメなのでしょうか。
介護保険の原則の一つとして、公平性が挙げられます。
ペットを飼うということは、個人の嗜好の選択によるものになります。
ですから、ペットの世話をすることは、ペットを飼っていない方との間に、訪問介護のサービスを受ける場合に差異が発生してしまいます。
これでは、公平性が担保できませんので、訪問介護ではペットの世話はできないということになるわけです。
さらには、地域に存在しているペットのシッターを雇用すれば世話をしてもらえるわけですから、きちんとそちらの保険外のサービス利用するように促すことが重要です。
それでもダメな場合には、地域包括支援センターと協働で解決を図るしかありませんね。
何れにしても、訪問介護で、断れないからという理由で、ペットの世話をズルズルしてしまうのは本当によくありません。
かろうじて算定できる場合もある?
ですが、ご本人様の自立支援という観点から、訪問介護でペットの世話ができる場合もあります。
ご本人様が自分で行うペットの世話をすることを、見守りや適宜介助を行う時には、自立支援による内容ということで算定できます。
ちなみにここで言う、見守りや介助により自立支援を行うことは、そのことをすることで、利用者の状態改善が見込まれる場合出なくてはなりません。
この視点で、介護支援専門員は、アセスメントを行い、居宅サービスに位置付け、訪問介護計画に基づき実施することができます。
この場合には、きちんと定期的に見直しを行い、自分でできるようになった、これ以上の回復や改善が見込まれないと判断される場合には、即中止にしなくってはなりません。
まとめ
結論から、原則として訪問介護でペットの世話はできません。
「よく家族の一員なのだからと」おっしゃるご利用者様がいますが、その通り、同居家族なので、サービス提供できませんと断ることができます。
少し餌やるくらいならいいかということが、大きな問題となりますので、注意して、適正な介護保険の運営に資するようにしてください。